国際大会

チャイナスマッシュ2025の結果詳細

早田ひな選手はWRポイントの失効に追加が間に合わず、ついに日本人選手5位に下がってしまいました。5位だとチャンピオンズに出場できないため、また6位以内でないとスマッシュに出場できなくなるため、踏ん張りどころを迎えています。

世界ランキングが下がるとシードで不利になり、R16までに四天王と当たってしまいます。四天王の壁は厚いのですが、これを突破しないことには上位を目指せません。

第13シードの早田ひな選手はR16で王曼昱選手に完敗しましたが、朱芊曦選手と組んだダブルスでは張本美和/大藤沙月ペア、王暁彤/徐奕ペアとの激戦を制して決勝に進出し、蒯曼/王曼昱選手に惜敗して準優勝でした。それでも朱芊曦選手との初ペアリングでの準優勝は快挙と言えます。

*アイキャッチ画像はテレ東卓球情報のXポストからの引用です。

WTTグランドスマッシュ

  • オリンピック、世界卓球選手権大会(個人戦)と同列のWTTシリーズ最上位大会です。
  • 年間最大4大会開催可能です。2024年から年4回開催されるようになりました。
  • 本戦8日、予選2~3日のゆったりした日程。
  • シングルス、ダブルス、混合ダブルスの3種目を実施。
  • シングルスの本戦は64名、うち8名は予選64名を通過した選手。予選のワイルドカード枠は6名。
  • ダブルス24ペア、混合ダブルス24ペア(共に予選なし)。
  • シングルスは本戦、予選合わせて各協会から6名までしか出場できません。また世界ランク上位者から優先出場となっています。
  • 世界ランク20位以内の選手参加規制はありません。
  • ワイルドカード枠4名、WTT推薦枠2名。
  • 出場資格を持つ選手が病気や怪我以外の理由で辞退した場合、ペナルティの対象でしたが、これは2025年4月以降廃止されました。グランドスマッシュは強制参加でなくなりました。
  • シングルスのシード数は16。(2022年までは8。)
  • シングルスの準々決勝、準決勝、決勝のみ7ゲームマッチ、他はすべて5ゲームマッチ。
  • 優勝選手には2,000ポイントが付与されます。WTTチャンピオンが1,000ポイント、WTTスターコンテンダーが600ポイントですからダントツの高さです。

チャイナスマッシュ2025

ネット中継

  • WTTがYoutubeチャンネルでT1からT4をリアルタイム配信しました。(日本では全テーブル視聴制限あり。)
  • テレビ東京卓球チャンネルがT1の日本人選手以外の試合をリアルタイム配信しました。
  • テレビ東京がU-NEXT(有料)で日本人選手の試合を、日本語実況解説付きでリアルタイム配信しました。日によってT1以外のテーブルも対象になりましたが、配信対象にならないテーブルもありました。
  • 一部のテーブルで行われた日本人選手の試合をリアルタイムで視聴することは、日本では視聴制限によりできない日がありました。
  • 日本人選手以外の試合も観たいという人にとっては迷惑この上ない運用でした。
  • 日本人選手の一部の試合を、テレビ東京が地上波とBSで放送しました。
  • テレビ東京卓球チャンネルで公開されるアーカイブ、日本人選手の試合は大会開催期間中はハイライトのみです。おそらく大会終了後、1週間程度でフル動画のアーカイブが公開されるものと期待しています。

テレビ東京によるこの対応は、残念ながら固定化されてしまったようです。U-NEXTに課金しても観たい試合を全部観れないのなら、VPNに課金した方がいいやとなるような運用は、考え直すべきだと思います。

シングルス出場選手

世界ランク(ほぼ)上位48名の顔ぶれです。最上位大会だけあって、ランキング上位選手がびっしり並んでいます。

早田ひな選手はWR13位でした。

シングルス出場選手

日本人選手で出場したのは張本美和選手、伊藤美誠選手、大藤沙月選手、橋本帆乃香選手、早田ひな選手、長﨑美柚選手です。

シングルス:ベスト16

一時期日本人選手に負けそうなこともあった王曼昱選手に完敗してベスト16でした。王曼昱選手の状態は完璧と言って良く、実力差を感じる試合内容でした。

R64(1回戦)

フランスの袁佳楠(ユアン・ジアナン)選手との対戦でした。パリオリンピック以来の対戦になりました。

フランスの袁佳楠(ユアン・ジアナン)選手

早田ひな選手は状態が良く、快勝でした。

袁佳楠(ユアン・ジアナン)選手との対戦のスコア表

  • 第1ゲーム、点差の開かない展開が続きます。今日はサーブの組み立てが良く、終盤にリードを広げて11-7でこのゲームを取ります。袁佳楠選手対策をしっかりして臨んだ印象です。
  • 第2ゲーム、流れをつかんでリードを広げる展開になります。安定したプレーで反撃のチャンスを与えず、11-2でこのゲームも取ります。早田選手の状態の良さが伺えます。
  • 第3ゲーム、早田選手はバックハンドも良く振れていて、レシーブから積極的です。最後は弱点であるフォアサイドに振られたボールに対応し、危なげなく11-5で勝ち切り、ストレート勝利を収めました。

今日はサーブの組み立てとコントロールが良く、袁佳楠選手の勢いを封じることができました。どの大会でも初戦は鬼門で、心拍数が上がることが多いのですが、今日は第1ゲーム後半からは安心して観ていられました。

フル動画。

公開待ち。

ハイライト。

試合後のバックステージでのインタビュー。必見です。

こちらは別メディアのインタビュー。

試合結果を伝える記事。

R32(2回戦)

台湾の17歳、葉伊恬選手との対戦でした。初対戦です。

台湾の葉伊恬選手

快勝でした。

葉伊恬選手との対戦のスコア表

  • 第1ゲーム、初対戦ゆえなのか球質を確認しながらのプレーが続きます。後半ギアを上げて引き離し、11-7でこのゲームを取ります。相手を見ながら無理しない技術選択をしているように思えました。
  • 第2ゲーム、早田選手は8時間ほど前に行われたダブルスの試合の好調さを維持しており、安定したプレーでリードを広げます。危なげなく11-3でこのゲームも取ります。
  • 第3ゲーム、ようやくサーブ・レシーブでチキータ系の技術を使うようになります。サーブは低くコントロールされています。葉伊恬選手に反撃させることなく11-6で勝ち切りました。最後はバックサーブを出すなど余裕を見せる試合内容でした。

初戦でサマラ選手をフルゲームで下した、葉伊恬選手の勢いを抑えての勝利でした。早田ひな選手は終始落ち着いていました。

フル動画。

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R16(3回戦)

王曼昱選手との対戦でした。WTTチャンピオンズマカオ2025ではゲームカウント2-1から逆転負けを喫しました。まだ一度も勝ったことがありません。

王曼昱選手

完敗でした。また王曼昱選手に突き放されてしまいました。

王曼昱選手との対戦のスコア表

  • 第1ゲーム、隙がなく少しでもボールが甘いと強打してくる王曼昱選手にリードされる展開になります。逆に早田選手にはミスが目立ちます。あっさりと6-11でこのゲームを落とします。
  • 第2ゲーム、修正したいところですが両ハンドの強打が入りません。簡単に失点を重ねて4-11でこのゲームも落としてしまいます。今日は早田選手らしさが全く感じられません。
  • 第3ゲーム、王曼昱選手が完璧過ぎて思うように得点できません。実力差を感じる内容で5-11で敗戦となりました。

ラリー戦はほぼ勝てず、自分の得点パターンも作れず、散々な内容でした。王曼昱選手の強さが際立ちました。でもまだロサンゼルスオリンピックまでに時間があります。前だけを向いて頑張るしかありません。

フル動画。

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ハイライト。

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ダブルス:準優勝

予想外でしたが、(今年からレッドエルフに加入した)韓国の朱芊曦選手との国際ペアで出場しました。グランドスマッシュは同国選手のペアは一組しか出場できない(ワイルドカード、推薦枠を除きます)ため、今大会をみまひなペアで臨むことは無理でしたが、国際ペアで出場したその「やる気」を高く評価します。

2回戦(R16)で第2シードの張本美和/大藤沙月ペアと当たる厳しいドローでしたが、激戦を制して勝ち上がり、王暁彤/徐奕ペアにも競り勝って決勝に進出しました。決勝では蒯曼/王曼昱ペアに負けてしまい準優勝でしたが、朱芊曦選手との初ペアリングでの準優勝は快挙と言えます。

R24(1回戦)

セルビアのルプレスク/スルヤンペアとの対戦でした。

 セルビアの ルプレスク/スルヤンペア

接戦になった第1ゲームを取り切ってからは流れを渡さず快勝でした。

ルプレスク/スルヤンペアとの対戦のスコア表

  • 第1ゲーム、接戦で点差が開かない展開が続き、9-9まで競ります。どちらが取ってもおかしくない中、最後レシーブエース2本で11-9でこのゲームを取ります。
  • 第2ゲーム、流れをつかんで一気に引き離し、11-3でこのゲームも取ります。
  • 第3ゲーム、終始リードをキープし、勝負どころで失点せず、11-6で危なげなく勝ち切りました。

急造ペアですが、楽しそうにプレーしているのが印象的でした。中国語の習得を続けてきて良かったと思えた試合だったことでしょう。

フル動画。

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ハイライト。

R16(2回戦)

張本美和/大藤沙月ペアとの対戦でした。

張本美和/大藤沙月ペア

フルゲームデュースの激戦を制して勝利しました。凄い試合でした。

張本美和/大藤沙月ペアとの対戦のスコア表

  • 第1ゲーム、朱芊曦選手のサーブが効いてリードする展開が続きます。11-4でこのゲームを取ります。
  • 第2ゲーム、早田選手のフォアハンドの強打が入らず、連続失点で流れを渡してしまいます。7-11でこのゲームを落とします。
  • 第3ゲーム、接戦で点差が開かない展開が続き、7-7まで競ります。早田選手にややミスが目立ち、9-11でこのゲームも落としてしまいます。
  • 第4ゲーム、このまま夜のシングルスR32に臨みたくないところ、両ハンドの精度を上げて得点できるようになります。好調な朱芊曦選手の貢献もあり、11-3でこのゲームを取り返します。勝負は最終第5ゲームへ。
  • 最終第5ゲーム、好プレーの連続、バチバチに打ち合う展開が続きます。見応え満点です。9-10とマッチポイントを握られますが、倒れ込みながらフォアサイドドライブを厳しいコースに決めてデュースに持ち込みます。急造ペアとは思えない連携プレーで11-10でマッチポイントを握り返し、最後朱芊曦選手のレシーブエースで強敵に競り勝ちました。

両ペアの良さが随所に見られた好ゲームでした。また早田ひな/朱芊曦ペアが楽しそうにプレーしているのが印象的でした。

フル動画。

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ハイライト。

勝利後のハグと最高の笑顔。

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準々決勝

タイのスターシニー/オラワンペアとの対戦でした。

スターシニー/オラワンペア

快勝でした。

  • 第1ゲーム、サーブが効いてリードを広げる展開が続きます。危なげなく11-6でこのゲームを取ります。二人共良く動けています。
  • 第2ゲーム、流れをつかんで大量リードし、反撃させないまま11-5でこのゲームも取ります。
  • 第3ゲーム、早田選手のフォアサイドを突かれて失点が増えますが、それでも11-7で勝ち切って準決勝進出をものにしました。

今日も実に楽しそうにプレーしていました。二人共仕上がりが良いです。

フル動画。

公開待ち。

ハイライト。

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この試合のベンチコーチは、チームひなの左さん(中国出身)と、朱芊曦選手のコーチだったようです。

準決勝

中国の王暁彤/徐奕ペアとの対戦でした。ワイルドカードでの出場です。

中国の王暁彤/徐奕ペア

負けそうになりながらも、気力と能力を振り絞って戦い抜き、激戦を制しました。早田ひな選手の卓球史に残る試合になりました。

王暁彤/徐奕ペアとの対戦のスコア表

  • 第1ゲーム、追いかける展開が続きますが、内容は悪くありません。終盤に追いついたものの、一歩及ばず9-11でこのゲームを落とします。
  • 第2ゲーム、打ち合いに強い中国ペアにリードされる苦しい展開が続きます。5-9と大量リードされたところから、驚異的な粘りで追い上げて11-9と逆転でこのゲームを取り返します。このゲームを落としていたら、負けていたと思います。
  • 第3ゲーム、接戦で点差が開かない展開が続きます。終盤流れをつかんで10-7とし、中国ペアの追い上げを振り切って11-9でこのゲームも取ります。ゲームカウントは2-1に。
  • 第4ゲーム、中国ペアの攻撃力の高さが炸裂し、完全に流れを渡してしまいます。5-11でこのゲームを落とします。勝負は最終第5ゲームへ。
  • 最終第5ゲーム、第4ゲームの悪い流れを断ち切れず4-7とリードされます。そこから二人で攻めて9-7と逆転します。中国ペアも焦り・苛立ちを隠せません。10-8でマッチポイントを握りますが、流石のプレーで10-9と1点差に迫られます。デュースにされたらヤバいという雰囲気が漂う中、朱芊曦選手のサーブからの3球目を早田選手が絶妙なミドル攻めで決め、11-9で逃げ切って絶叫しました。ものすごい試合でした。

攻撃力の高さでは負けていたし、流れ的にはストレート負けでもおかしくない試合でした。でも二人は鬼のメンタルで劣勢でも諦めず、1本1本に全能力を傾けてフルゲーム9本を戦い抜きました。この1勝は早田ひな選手の今後に大きな影響を与えるに違いありません。

なおこの試合も、ベンチコーチはチームひなの左さん(中国出身)と、朱芊曦選手のコーチだったようです。

フル動画。

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ハイライト。

勝利した瞬間、絶叫して朱芊曦選手とハグします。

試合後のバックステージでのインタビュー。「また機会があれば組みたいなとは思ってる」これは期待しちゃいます。

試合結果を伝える記事。

決勝

蒯曼/王曼昱ペアとの対戦でした。

蒯曼/王曼昱ペア

善戦したものの、勝たせてもらえませんでした。第3、第4ゲームはデュースでした。

蒯曼/王曼昱ペアとの対戦のスコア表

  • 第1ゲーム、精度の高いプレーで流れをつかみ、9-1と大量リードします。中国ペアの追い上げを振り切って、11-6でこのゲームを取ります。
  • 第2ゲーム、点差が開かない展開が続き8-8まで競ります。早田選手がミスして悔しがる回数が多いです。8-11でこのゲームを落とします。
  • 第3ゲーム、再度流れをつかんでリードする展開になります。10-7でゲームポイントを握ったものの決めきれず、デュースに持ち込まれます。あと1点が遠く、11-13でこのゲームも落としてしまいます。
  • 第4ゲーム、接戦で点差が開かない展開が続き、6-6まで競ります。そこから6-9とリードされますが、踏ん張って9-9で追い付きます。9-10のマッチポイントをネットインでしのぎますが、あと1点が遠く10-12で悔しい敗戦となりました。それでも素晴らしい準優勝でしたし、あと少しで優勝に手が届く素晴らしい試合でした。

デュースになった2ゲームのどちらかを取れていたら、と思ってしまいますが、今日はまだその日ではありませんでした。もっと強くなるために効果的な練習をしなさい、ということでしょう。

早田ひな選手の失点が目立つ試合になってしまいましたが、この試合で得た経験、痛感させられた弱点、多くの気付きはこれからの練習に大きく作用し、早田ひな選手を強くしてくれるはずです。

フル動画。

公開待ち。

ハイライト。

失点シーンですが、もの凄いラリーでした。

表彰式。朱芊曦選手、ペア組んでくれてありがとう。

試合結果を伝える記事。

まとめ

  • WR低下により第13シードになった早田ひな選手はR16で王曼昱選手と対戦しました。一時期日本人選手に負けそうなこともあった王曼昱選手ですが、今大会の状態は完璧と言って良く、実力差を感じる試合内容でストレート負けし、結果ベスト16でした。
  • 王曼昱選手の実力の高さを痛感させられる結果になりましたが、ロサンゼルスオリンピックまでにはまだ時間があります。前だけを向いて強くなるための努力を続けるしかありません。
  • 朱芊曦選手と初ペアリングのダブルスでは、R16で第2シードの張本美和/大藤沙月ペア、準決勝で中国の王暁彤/徐奕ペアとの激戦を制して決勝に進出しました。
  • 決勝では蒯曼/王曼昱ペアに負けてしまい準優勝でしたが、朱芊曦選手との初ペアリングでの準優勝は快挙と言えます。また、早田ひな選手の失点が目立った決勝戦でしたが、それだけ学びを得たということです。

WTTシリーズ通算100勝利達成

R64の勝利で、WTTシリーズ通算100勝利を達成しました。次はR64の試合動画からの引用です。

WTTシリーズの通算勝利数上位8名

多くの大会に出場して勝利を重ねた結果です。早田ひな選手もインスタグラムストーリーズで100勝利達成お祝いしていました。

大会終了後

早田ひな選手がXで結果を報告しました。

朱芊曦選手、レッドエルフへの移籍と活躍、国際ペアのダブルスで早田ひな選手をリードする躍動と貢献ありがとう。朱芊曦選手の活躍なしに準優勝はあり得ませんでした。またチャンスがあったらペア組んで下さい。グランドスマッシュは組みやすいから狙い目ですね。

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